誰もいない場所を探している
アアルトコーヒーという、徳島の有名なコーヒーショップのオーナーの本。
ふらりと入った雑貨屋に置いてあり、なんとなく心惹かれて手に取った。
『誰もいない場所を探している』
タイトルが良い。
35歳をすぎたサラリーマンが、全然経験もなにもないコーヒー屋を始めるのだが(そして今では有名店なのだが)
そこで感じた体験がリアルに、心温かく、ずしりと伝わってくる。
夢と、現実を捉えるバランスが素晴らしいと感じた。
ーーー
大切なのは夢ではなくて日々の生活。
お金を貯めておくことは大事で、
何より必要なのは、スタートに就くための準備。
物事はどちらがいいと決められるほど単純なものじゃない。
お客がこないのは単純だ。コーヒーがまずいから。
今は何が流行っているんだろう、だけどそこは私の場所ではない。
雑な生活が続けば心が荒むし、毎日が丁寧だとどっと疲れる。完璧を求めない幅のある暮らしこそが、本当の丁寧な暮らし。
不完全な世界で私は生きていきたい。
ーーー
いろんな情報に溢れている世の中だからこそ、
庄野さんは、自分の指針とともに、
自分の世界を少しずつ、日々重ねていき、
多くの人を惹きつけるようなお店が作れているんだと思う。
※このくるくるの方が庄野さんだろうか。
提供するものには、そこにその人の世界観が、反映されるべきである。
反映されないものはコモディティであり
何を提供物の中に投影するか、これこそが、店の個性になると思う。